最近また、出張が増えた。新しい顧客開拓の御旗のもとに“営業”に拉致され、見知らぬ土地を訪ねるチャンスが転がり込んでくる。「えーっ、もう忙しいのに…」と、いわば社交辞令的に一言文句を言ってみるものの、内心は少年のようにとてもワクワクしていて、前の日の夜は眠れないこともある。

 なんと今回の旅は、うどん県・高松市。真っ先に思い浮かんだのはやはり「讃岐うどん」だが、他に何があるのかなぁ~、瀬戸内大橋から見渡す瀬戸内海の絶景、そこで捕れる海の幸、地酒、中野美奈子(笑)…と、既に仕事はそっちのけになっている。食・酒・女…本能に任せたこの汚れきった体は四国霊場巡りのお遍路さんを実践し、これまでの過ちを正す修行が必要だな、とつぶやいてみる。

 さて、仕事で訪れたのは地元の元気なスーパー。スケールメリットで全国展開するイオンなどに歩調を合わせた価格訴求型の商売では生き残れないことに気付き、高鮮度、高品質のおいしい食品の提供に力を注ぐ改革を始めた。地産地消を前提とした近距離物流網を構築し、大手のプライベートブランドとは一線を画す、自社で製造した作り立ての本当においしい食材をその配送網に載せる。また、2時間配送圏内じゃないと店舗を作らない、という徹底ぶりだ。消費者は、その商品に価値を見い出せば、類似商品より高くても買うことを知った。小回りが利く地元の特徴を最大限に生かし、彼らとの差別化を図っている。製造に関しても、それまではどんぶり勘定だった原料の仕入や使用量の適正化を進めたほか、製造作業の抜本的な見直しによる大胆なコストカットにも成功し、大幅な利益率の向上に成功した。

 と、ココまで聞くと頭に思い浮かぶのが「トヨタの改革・改善 看板方式」。実はこの“改革”、まだ始まったばかりだそうだ。それもトヨタ系のコンサルの指導を受けているとのこと。我々がお役に立てるとすれば、どうやらもう少し先のことになりそうだ。今後もお互いの情報交換を続けることを確認したところで「お腹がすいた・・・」。この後、みんなで夜の街に消えました。そこでは、名物・骨付鶏を発見、「親どり」「雛どり」の2種類があって、いずれも注文しました。前者は“円熟の旨みがあって濃厚”、後者は“やわらかくジューシーな味わい”とのメニューコメントがあり、早速、食べてみた感想を論評。RM氏「やっぱり、ハリがあって若い方がいいです」HM氏「うん、確かに若いのもいいけど色艶がよく熟したのも捨てがたい」KM氏「若いのがいいよ」俺氏「○×△□…。この会話、鶏のことを書かないとヤバいですね…」
おや

「親どり」

ひな

「雛どり」

 高松といえば水戸徳川家ゆかりの所領。水戸黄門で有名な光圀の兄・頼重が初代藩主である。本来ならば長男である頼重が水戸家嫡男として相続すべきだが、当時、尾張徳川家、紀州徳川家に男子の誕生がなかったことに配慮し、頼重は公家に預けられました。そのため、先の二家にも男子が誕生した後に生まれた三男・光圀が水戸家家督を継ぐことになりました。義を重んずる光圀は、兄・頼重の子に水戸家家督を継がせ、自分の子・頼常を高松藩2代目藩主としました。光圀隠居後、高松藩のお家騒動を聞きつけ、窮地を救うべく“諸国漫遊の旅”へ出かけていくのは息子のためだったのですね。

♪人生楽ありゃ苦もあるさ 涙の後には虹もでる
歩いて行くんだしっかりと 自分の道を踏みしめて♪

大名庭園としては日本一(観光ボランティアガイドのおじさんが特に強調)の栗林公園を散策しながら思わず口ずさむ。
だって、公園の入り口では杖を無料貸し出していて、すぐさまそれに反応するRM氏。TK氏は「助さん、格さんは…」と合いの手を入れる。この状況、誰しも真っ先にこの歌でしょ(笑)

栗林公園内


偕楽園といい、水戸徳川家の血は、どうやら巨大大名庭園を好むらしい。庭園内には趣向を凝らした池がたくさんある。その池を眺めていると、また、別の歌が頭をよぎる。

     ♪どんぐりころころどんぶりこ お池にはまってさぁ大変
      どじょうが出てきてこんにちは 坊ちゃん一緒に遊びましょ♪

知ってますか? これ、お互いの歌詞だけ入れ替えて歌ってもぴったりはまるって! しーん(@_@;)

“諸国漫遊の旅”はRM氏、HM氏、TK氏の3人にお任せして、俺氏は入浴中の「お銀」姉さんを探しに出かけましょうかね。見つけたら一緒に入って…(笑) でも、忍法すいとんの術みたいな技で水攻めに遭うのでしょうか?

「社長、お遍路さんになって清めの旅に出ることにします。やっぱり休みくださ~い」

瀬戸内海




by かすみ草