僕がこの業界に入ってきた時はまだMS-DOS3.3の全盛期でした。C言語とCOBOL言語でプログラムを組む日々だった。分厚い言語リファレンスを見ながらコーディングしたことを覚えています。あの時は専用のハードウェアで動作する業務用専用ソフトの開発だったので、仕様に対してユーザーが口出しできるような状況でもなく、スタンドアロン端末が標準だったからテストパターンも業務に絞ったテストで十分だった。ネットワークなんてポーリングして親子で通信するのが凄かったというレベルでした。
20年も経つとグラフィカルな画面は当たり前で動作する端末も制約がなくなってきました。なんでも動かなければならない状況で、ネットワークは必須。しかも有線LAN、無線LAN、ブルートゥースや非接触ICなどあらゆるネットワークが混在しています。WindowsもひとつのバージョンではなくなりXP(サポートは切れていますがいまだ現役のユーザーも多い)、7、8、RT。サーバーOSもありますね。32ビットと64ビット、メモリもディスクも大容量。なんでもできる状態になっています。少し前のサーバースペックより今のクライアントパソコンのスペックのほうが良いなんてよくある話ですよね。
IT業界も20年前はハードウェアを持っているところがソフトも開発していました。自社ハードウェアに自社OS、自社ライブラリに自社言語なんてものもあった。ソフトを開発するためには高額のライセンスを購入し限られた資源を使って開発をしていました。まさに[製造]そのものでした。
ITバブルなんて言われましたが、WEB系が主流になりデザイン性が高まりあらゆる人材がIT業界に参入。デザインセンスで業績も変わる時代に変わりました。機能よりも使いやすさだったりデザインだったり。広告収入にシフトするようになったため、Webサービスとの連携が重視されました。自分のアイデアをカタチにすることが開発になっていきました。[創造]する楽しさがあったのかもしれません。業務用なんて堅苦しいものよりも特徴のあるものが好まれたのかもしれません。
では現在はどうでしょうか?
一部の人が創造したものを模倣するだけで終わっていませんか。創造することに疲れてしまい製造するだけになってしまっていないでしょうか。まだまだ創造しきれていなことがたくさんあるはずです。ハードウェアの制限がなくなったことはソフトを開発する人にとっての自由を手に入れたのかもしれません。あらゆるものと通信できることが当たり前になった。夢だったことがどんどんと現実になってきた。もう一度童心に帰って作ることの楽しさを思い出してみてください。IoTなんて楽しいことばかりですよ。自分のアイデアをカタチにすることができるそんなことを楽しむことを忘れないでください。そうすればまだまだIT業界も捨てたもんじゃないですよ。