考え方を理解しよう

 食品スーパーとは、昔は朝10時に開店して夜19時でだいたい閉まるものでした。私が青果担当として入社が決まった時など、朝は7時に出勤するように言われましたが、実際開店までの3時間何をやるんだろう?と思ったものでした。いざ出勤してみると作業はてんこ盛り、休む間もなく時間が過ぎあっという間に開店。

 前日閉店時に冷蔵庫に入れた商品の再加工や品出し
 当日入荷商品の検品、入荷日記入、整理整頓、加工、品出し
 売場レイアウトの変更、ハンドラベラーでの売価変更
 値付けの出来ないバラ売りや裸売りの商品についてはレジ担当者への売価連絡

 ※当時はまだPOSシステムなど無い時代でしたから、商品にバーコードなどありません。売価はハンドラベラーで一品一品値付けしたものでした。

 売価を下げる場合は二重張りまではOKでしたが、問題は売価が上がる場合。お客様からのクレームを避けるために前日の売価ラベルを一枚一枚剥がしては貼っての繰り返し、これは結構手間がかかりますが、これをしないと、うるさいお客様は必ずラベルを剥がして前の売価を確認するのです。マークダウンの場合は文句は言われませんが、マークアップの場合は嫌みを言われ、場合によってはクレームにも繋がります。それから当時のレジ担当者は、とても優秀でした。部門の違いや葉物類の違い、バラ売りのりんごの品種の違いまでとっさに判断して売価を入力していたものです。 今のように商品をスキャンしたりタッチキーを押せば、部門も売価も判るような時代じゃありませんから、大したものでした。当然、当時の新入社員やアルバイトさんへのレジ教育はかなり時間を要していました。皆さん、男爵いもとメークインの違いや、フジリンゴとジョナゴールドの違いをとっさに判断できますか?


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 話が横道に逸れましたが、今では、コンビニは24時間営業が当たり前、大型スーパーでも夜中まで開いているのが普通の時代となりました。小売業の人材不足もかなり深刻なもので、今でも小売業に身を置く昔の仲間に会うと必ず「人が足りないよぉ」と泣き言を聞かされます。

 ところで、お店には朝から晩まで毎時間同じようなお客様が訪れるものなのでしょうか。

 一日の中でも「早朝・午前中・お昼・午後・夕方・夜・深夜」と、時間帯によって色々なお客様がお店を訪れていると思います。早朝は近所の年配の女性達、お昼になれば主婦全般やお弁当目当てのお勤めの方々、午後は年配の方や主婦、夕方は学生、場所によってはお勤め前の夜の蝶達、夜はお勤め帰りのOL、深夜は学生や単身赴任者、と食品スーパーでも時間によって客層はかなり変わります。ところが肝心の売場の方は、時間帯別どころか平日と週末でさえ、同じような売場展開をしているお店が多いのではないでしょうか。時間帯ごとに客層は全く違うのに売場はいつ行っても同じでは、顧客ニーズを売場が捉えきれていないということであり、チャンスロスが発生しているということになります。

 それではどうすれば良いか?次回は具体的な展開方法について述べてみたいと思います。

 タイムマーチャンダイジングとは その(2) に続く。